脳梗塞へのデイケアでのリハビリとはどのようなものでしょうか?
介護保険のリハビリと言えば、通所リハビリのデイケアという言葉を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか?
その一方で、通所介護のデイサービスと混同して、「どこが違うのかわからない!」という声もよく耳にします。
実は、厚生労働省もそのような声に対して、2015(平成27年)から、通所リハビリを強化しようとしてきました。
現在のデイケアは、昔の「老人デイケア」と呼ばれていた頃とは、どのように違うのでしょうか?
今回は、実際にデイケアのご利用者のストーリーを基にご紹介しましょう。
目次
私は50代で発症一年のリハビリ中の脳梗塞右片麻痺です
脳梗塞へのデイケアでのリハビリについて、体験談をお話します。
初めまして。
私は、50代の男性です。
実は、私は一年前に発症した脳梗塞により右片麻痺が残り、現在もリハビリ中です。
回復期の病院を経て何とか自宅復帰できましたが、今は近所の老人保健施設のデイケアに週に3回通っています。
私の仕事は、ある地方行政に関わる公務員です。
大学を卒業後から就職し、市役所のいろいろな部署を経験したのち、40代後半より中間管理職も務めてきました。
脳梗塞を発症した時は、環境課に所属して、市としてのエネルギー問題や環境問題への取り組みについての企画立案をしたり、市民に向けて広報するようなプロジェクトの責任者を務めていました。
現在は未だ休職中で、1日も早い職場復帰を目指しています。
ちょうど一年前のことでした。
まだ、残暑の強い9月上旬のことでした。
丁度、新しい仕事の関係で残業が続いていていた折に、台風による水害が市内で発生しました。
そのため、我々環境下も防災課を手伝って、市民のための避難所を開設したり、物資を輸送するような業務を一週間ほど続けていて、とても忙しかった記憶があります。
近年は、地方行政の役所も非正規職員が4割を占める状況となり、平時には問題なく業務が遂行できていても、災害や感染症対応などの有事の際には人手不足が否めない状況になります。
非正規職員の皆さんは、派遣会社からの契約により、規定以外の業務には原則的従事できません。
そのため、6割の正規職員は、非常時には所属部署と関係なく多種多様な仕事をこなさなければならないものです。
そのような多忙で暑い最中に、私は脳梗塞になりました。
最初は、身体が脱力して、呂律が回らない状態でした。
異常を感じた周りの職員が救急車を呼びました。
救急車に乗るまでは記憶がありました。
その後、気づいた時は病院のICUの中でした。
実は、急性期のころは、まだ意識も朦朧としている時間が長く、振り返ってもあまり記憶がありません。
だんだんと記憶が鮮明なのは、発症後2週間で転院した回復期リハビリの病院に入ってからです。
回復期リハビリの病院に転院した頃は、車椅子でした。
ベッドへの乗り移りも看護師の手を借りる必要がありました。
脚には少し動きがありましたが、腕や手は殆ど動かない状況でした。
言葉は、多少もつれるものの、なんとか周囲には言いたいことが伝わっていたようです。
回復期の病院には4ヶ月入院しました。
幸いにして、入院当初より回復は順調でした。
退院前には、一本杖と足首のプラスチック装具を用いて病院内は一人で歩けていました。
屋外も病院の庭ぐらいまでなら、リハビリスタッフや看護師の見守り程度で歩けるようになっていました。
言語に後遺症が残らなかったのは幸いでした。
私の脳梗塞は、中大脳動脈と呼ばれる血管の一部の血流を妨げたようでした。
丁度、運動神経の通り道にかかる部位だったので、運動麻痺が出現したそうです。
とても残念なことに、右腕については万歳ができる程度まで回復したのですが、指と手については回復が不十分でした。
指を握ることはできても、伸ばすことができませんでした。
手首を動かすこともできませんでした。
そのため、利き手交換という形で、箸や筆記具の操作はとりあえず左手で練習を行いました。
ところで、この利き手交換の訓練というのが非常に心理的に苦痛を伴います。
本当は、麻痺側の訓練を受けたいのに、担当の医師は「先ずは身辺動作を自立してください」と言い、非麻痺側で様々な練習をしなければなりませんでした。
箸を使う練習から、字を書く練習、片手で衣服を脱ぎ着する練習、基本練習として小さなピンをペグボードと呼ばれる板に立てるような訓練もありました。
作業療法で、このような利き手交換練習に時間がとられたため、麻痺側の手指の回復は遅れたのではないかと思います。
私と脳梗塞リハビリとデイケア
入院中に何度か外泊訓練を実施した末、退院が決まりました。
退院の前には、今後のリハビリのためということで介護保険を利用する方針となりました。
退院前に判明した私の介護度は、要介護1でした。
要介護の5つの区分の中で、最も軽い介護と聞きました。
早速、担当のケアマネージャーが決まり、退院日に介護計画が提示されました。
私は、退院後のリハビリは、できれば今までの病院の外来リハビリが良いと思っていたのですが、介護保険のデイケアを使うことが提案されました。
実は、私の妻も私と同じ公務員のため、平日に定期的に休むことは困難でした。
そのため、交通手段が無い私は、送迎付きのデイケアを使うことにしたのでした。
そのデイケアは、ある老人保健施設に併設されていました。
リハビリスタッフの数も多く、評判も良いとのことでした。
当初は、午前中のみデイケアを利用して、午後は自宅でゆっくりすることにしました。
個別のリハビリとマシントレーニングを中心に行い、昼食まで食べて帰ることにしました。
月・水・金の週3回利用です。
その頃には、屋内の歩行や身辺動作は一人でできていました。
入浴も病室の個浴槽に一人で入れるようになっていましたので、自宅でもなんとかできると思っていました、
デイケアでは、理学療法士が指導をしてくれました。
最初の3ヶ月のみ、加算が付く関係で毎回40分間のリハビリが受けられました。
しかし、4ヶ月目以降は、加算が無くなるので20分間になると説明されました。
つまり、自主訓練が主体になるという意味です。
老人保険施設には医師もいますので、定期的に診察を受けることも可能です。
ただ、病院の先生とは異なり、リハビリや脳神経に特に詳しい訳ではありませんでした。
その点は、担当してくれた理学療法士の方が詳しかった印象を受けました。
脳梗塞リハビリでデイケアの良いところ
デイケアのリハビリで良いところは、交通手段のない私にとって、送迎サービスは助かります。
それから、利用時間が選べるところも良いです。
正直なところ、丸1日をデイケアで過ごすのは苦痛です。
私としては、個別リハビリと自主訓練の時間以外に、昼食が摂れれば十分ですので、昼までの利用で十分です。
デイケアでは、1~2時間から7~8時間まで自由に時間が選べるようです。
ただし、施設の送迎体制の都合もあるでしょうから、無理な場合もあると思います。
リハビリスタッフのレベルについては、私の場合は病院とそれほど変わらないという印象です。
最初は、病院のスタッフの方がいろいろ詳しいのかと思っていましたがそうでもありませんでした。
まあ、スタッフの個人差もあるとは思いますけど・・・・・
脳梗塞リハビリでデイケアの物足りないところ
私の場合、幸いにして身の回りの動作は、ほとんど自立しています。
後は、手が少しでも動くようになって欲しいのと、徐々に装具や杖が外れるのが望みです。
特に、手の回復については、なかなか難しいと言われたことがあります。
回復期の病院でもそうでしたが、デイケアの理学療法士の先生も、脚の訓練はよくご存知ですが、手や指の訓練についてはそれほど詳しくない印象です。
このまま、動かない状態が続くとそのまま固まってしまうのではないかと心配です。
それから、3ヶ月を過ぎてリハビリの加算が無くなると訓練時間も短くなりますね。
4ヶ月目からは大体20分間になりますが、それはとても短く感じます。
挨拶や雑談をしていると、あっという間に時間がきます。
訓練内容もROM(関節可動域訓練)ぐらいしかできなくなりますので、他の訓練は自主的に行うように言われます。ただ、動かない手や指の訓練は、一人ではできないんですよね。
脳梗塞リハビリでデイケアと併用したいサービスとは
実は、最近になってデイケアの回数を減らしました。
その代わりに、市内の自費のリハビリ施設を利用するようになりました。
きっかけは、デイケアでのリハビリ加算がなくなり、リハビリの時間が20分間になったことでした。
このままでは、今の機能は維持できても、これ以上良くなることは難しい気がしてきました。
ネットで調べたら、いくつかの自費リハビリ施設が見つかりました。
料金はそれなりにしますが、期間限定のつもりで始めました。
デイケアと併用すれば、今までよりは効果があるのではないかと思っています。
自費リハビリでは、病院やデイケアと違い、先ずは私達利用者の希望を尊重してくれます。
今までは、手の回復を相談しても、あまり積極的には進めてくれませんでした。
病院の先生などにすれば、安易に私に希望を持たせてはいけないと思われたのでしょう。
その反面、自費リハビリの先生は、一般的には下肢よりも回復が難しいことは説明されながらも、海外での最新の知見なども交えて前向きにお話しをしてくださります。
まだ、始めて間もないので、これからの経過はわかりませんが、少しだけ希望が持てたような気持ちです。
自費リハビリ施設は、未だ数も少なく、内容も方針も統一はされていないようです。
私は、先ず今の所でやってみようと思います。
そろそろ、仕事復帰も考えなければなりません。
少しでも回復して、できる仕事の幅を増やしたいです。
今の自費リハビリ施設は、土曜日も営業しているので、送迎は妻にしてもらえます。
普段は、忙しい妻も訓練を一緒に見てくれてます。
帰りの車の中では、その日の訓練で良かったこと、良くなかったことを一緒に話してくれます。
意外にも、自分では気づかないようなことも妻は見てくれているので、自宅での自主訓練の際にとても役立っています。
脳梗塞へのデイケアでのリハビリのまとめ
私は50代で発症一年のリハビリ中の脳梗塞右片麻痺ですのまとめ
脳梗塞へのデイケアでのリハビリの体験談です。
一般に、脳梗塞片麻痺を発症後は、急性期治療を経て、回復期のリハビリ病院などに入院する場合が多くあります。
私と脳梗塞リハビリとデイケアのまとめ
退院後は、介護保険によるデイケアなどを利用して、介護を受けながらリハビリを継続します。
デイケアは、老人保健施設の他、病院などの医療機関にも併設されている場合があります。
リハビリについては、最初の3ヶ月は、比較的集中的な訓練が可能です。
脳梗塞リハビリでデイケアの良いところのまとめ
デイケアは、基本的に送迎付きのサービスです。食事や入浴サービスも、希望に応じて提供されます。
利用時間が細かく設定されていますので、選択することが可能です。ただし、施設の送迎体制により難しい場合もあるでしょう。
脳梗塞リハビリでデイケアの物足りないところのまとめ
開始して3ヶ月を過ぎると、リハビリの時間が急に短くなります。
リハビリスタッフの知識にも個人差がありますので、必ずしも望むような訓練が受けられない可能性もあります。
脳梗塞リハビリでデイケアと併用したいサービスとはのまとめ
比較的に若く、回復期に意欲的な患者さんの場合は、デイケアなどと併用して自費リハビリ施設を利用するという選択肢もあります。
自費リハビリ施設は、未だ数も少ないことが現状ですが、ネットで検索すると近くにもあるかもしれません。https://noukousokuriha.com/
是非、一度確認してみてください。