片麻痺の仰臥位のポジショニング

ベッドサイドで問診する看護師と患者

片麻痺の仰臥位のポジショニングとは?

片麻痺の仰臥位のポジショニングは、不良姿勢にしない目的であると共に体幹のリハビリの第一歩とも言えるでしょう。

特に急性期などで、寝ている時間が長いような状況では、ポジショニングは必須です。

ポジショニングとは、簡単に言うと、できるだけ正しい姿勢を保持し続けられるようにクッションなどで工夫をすることです。

何故、ポジションニングが必要かを考えてみましょう。

・身体の変形や拘縮(こうしゅく)をおこさないため

先ずは、身体の変形や拘縮を起こさないことが理由の一つです。

拘縮とは、関節などが変形してそのまま固まってしまうことです。

一度、拘縮した関節を元通りに戻すことは至難の技です。

貴重な回復期の時期に、拘縮へのリハビリばかりに時間がとられないようにするためにも、急性期ではポジショニングが重要となります。

・不良姿勢を脳が学習しないため

脳は、新しい情報に対して敏感に学習します。

脳梗塞などにより、身体に麻痺を生じたりすると、脳はそれを新しい情報と捉えます。

この時に、正しい刺激を送り続けられれば、それは脳と運動の回復にプラスに作用します。

しかし、間違った刺激を送り続けることになると、それは脳と運動の回復にはマイナスに作用するでしょう。

間違った刺激とは、不良姿勢や変形した関節からの情報です。

寝たきり状態で、2〜3日不良姿勢を続けると、関節はすでに拘縮し始めています。

さらに、その状態などを数日間継続するだけで、脳は不良姿勢や間違った関節の状態をむしろ普通だと感じてしまいます。

このように、脳が誤った学習をしないためにもポジショニングは重要です。

片麻痺のポジショニングは体幹リハビリでもある

体幹は、様々な動作に重要な影響を与えます。

以前から、体幹機能が歩行や日常生活の能力と関係が深い事はデータにも示されています。

体幹とは、上下は首から骨盤まで、左右は腕の付け根から内側で、身体の中でも非常に広いです。

また、重量比においても、全体重の46%を占めます。

体幹が、運動において重要なのは間違いありませんが、一方で手脚などに比べると意外と意識しにくい部位でもあります。

それは、大脳に占める運動や感覚のエリアが、実はそれほど広くないことが理由です。

脳の神経細胞の担当部位ごとに人の絵を描くと、指や顔面が大きく、体幹は小さい異様な姿となります。

これは、非常に有名な話で、ホムンクルスと呼ばれます。

そのような理由から、重要な割には意識されにくい体幹ですが、リハビリを行う上ではとても重視しなければなりません。

特に、未だ急性期などで、ベッドに寝ている時間が長い場合などは特に重要です。

片麻痺の身体は二分化されている

一言で脳梗塞の後遺症といっても、実は様々な状態があります。

それは、脳の中での病巣の部位や、大きさなどにより様々です。

それにより、臨床像も異なりますので、ポジショニングにも様々な方法が存在します。

ここでは、比較的典型的な片麻痺(半身麻痺)の臨床像を想定して考えてみましょう。

通常、仰向けの姿勢では、麻痺側の半身は重力によりベッド側に引かれた状態となります。

左右同じように重力が作用したとしても、麻痺側半身は筋力が低下しているため、より重さを感じることになります。

これは、口で言うと簡単に聞こえますが、実際の当事者の立場では大変な状況です。

例えば、左半身麻痺の患者さんは、通常は、少しでも自由が効きやすい右側に寝返ろうとします。

しかし、左半身には、右半身以上の重さを感じているのです。

右側に寝返る動作は、左半身をベッドから持ち上げて右に回さなければなりませんが、これは実はとても苦労を要する動きです。

このような異常な感覚を少しでも緩和するために、ポジショニングが重要となります。

片麻痺の仰臥位ポジショニングの実際

多くの患者さんでは、写真のように麻痺側半身が重力に耐えきれずに姿勢が崩れてしまいます。

目立つのは、膝が曲がった状態で外側に倒れていることでしょう。

このような姿勢を継続すると、複数の関節に拘縮の危険性があるだけでなく、不良姿勢を学習してしまいます。

こちらの例では、すでに上下肢に麻痺による筋肉の緊張がみられます。

このような例では、姿勢の不安定感がより筋肉の緊張を強める危険性があります。

これらに対して、二つのクッション類を用いてポジショニングを行いました。

麻痺側の骨盤と肩甲骨の下にクッションを入れることで、麻痺側半身の異常な重さを取り除きます。

この状態であれば、右方向への寝返りも比較的容易となります。

また、腕や脚の位置も正しく矯正されるため、拘縮の危険性が軽減します。

膝の下のクッションは、膝が外向きに倒れることを防ぐ効果があります。

また、すでに下肢の筋肉の緊張が強い場合では、これを緩める効果もあります。

今回は、典型的な半身麻痺へのポジショニングをご紹介しました。

ポジショニングが、体幹へのリハビリの第一歩であることをご理解いただけましたでしょうか?

ただ、人の体型は様々です。

そのため、全ての方に全く同じポジショニングが有効というではないでしょう。

良く分からないと感じた場合は、専門家にもご相談ください。

片麻痺の仰臥位のポジショニングのまとめ

片麻痺の仰臥位のポジショニングとは?のまとめ

片麻痺の仰臥位のポジショニングは、不良姿勢にしない目的であると共に体幹のリハビリの第一歩とも言えるでしょう。

特に急性期などで、寝ている時間が長いような状況では、ポジショニングは必須です。

片麻痺のポジショニングは体幹リハビリでもあるのまとめ

体幹は、様々な動作に重要な影響を与えます。

以前から、体幹機能が歩行や日常生活の能力と関係が深い事はデータにも示されています。

片麻痺の身体は二分化されているのまとめ

片麻痺の仰臥位姿勢では、麻痺側は重力によりベッド側に引かれてより重たい感覚を受けます。

このように片麻痺の身体は二分化されていると言って良いでしょう。

片麻痺の仰臥位のポジショニング実際のまとめ

多くの患者さんでは、麻痺側半身が重力に耐えきれずに姿勢が崩れてしまいます。

これに対して、クッションなどで正しくポジショニングを行います。

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