目次
脳梗塞リハビリと血圧
血圧とは
もくもく博士!
最近、脳梗塞リハビリと血圧について教えていただき、ありがとうございます。
そうでしたね。
脳梗塞予防やリハビリと血圧については、以下の記事を読んでください。
脳梗塞予防への血圧の薬には注意が必要|降圧剤の危険性について
脳梗塞の予防のための血圧管理|薬に頼らずに血圧を下げる方法とは?
はい、わかりました。
しかし、そもそも血圧とはどのように定義づけられるのでしょうか?
バイタルサインの中の重要な項目であることはわかりますが、もう少し基本的なことも教えていただきたいです。
なるほど、そうですね。
では、今回は血圧の定義や、調整の仕組みなどについて勉強しましょう。
先ずは、下の図を見てください。
血圧とは
「フィジカルアセスメントがみえる」 医療情報科学研究所 メディックメディア
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管壁に及ぼす圧力のことです。
通常、バイタルサインとして測定するのは、上腕動脈の血圧です。
一般底に、血圧は腕で測るのは、そのためですね。
医療の場面では、点滴などの関係で、上腕で測定できないこともあります。
例えば、脳梗塞では片麻痺になりますが、片麻痺では基本的には麻痺側の腕では測りません。
これについては、以下のサイトが参考になります。
このような場合は、下肢で血圧を測ることもありますが、一般的には上腕で測定することが大半です。
血圧の定義
血圧の定義はどのようになりますか?
次の図を見てください。
血圧の定義と血圧に影響を及ぼす因子
「フィジカルアセスメントがみえる」 医療情報科学研究所 メディックメディア
血圧は1分間あたりに心臓から拍出される血液の総量(心拍出量)と血管内での血液の流れにくさ(末梢血管抵抗)を用いて表すことができます。
血圧を上昇させる要因としては、心拍数や1回拍出量の増加、血管の内腔径が狭くなること、血液の粘性の増加が挙げられます。
一方で、血圧を低下させる要因としては、心拍数や心拍出量の低下、血管の内腔径が広くなること、血液の粘性の低下などが挙げられます。
よく言われる、動脈硬化は、血管の内腔径を狭くすることにつながるのですね。
リハビリとバイタルサイン基準値
リハビリとバイタルサインの基準値についても触れましょう。
次の図をご覧ください。
先ずは、リハビリ訓練を控える場合の基準値です。
血圧については、拡張期血圧が120mmHg以上、収縮期血圧が200mmHg以上の場合は訓練を控えるべきなのですね。
次は、途中でリハビリ訓練を中断する場合の基準値です。
血圧としては、リハビリ訓練中に収縮期血圧が40mmHg、拡張期血圧が20mmHg以上上昇した場合などですね。
次は、一時リハビリ訓練を中断し、回復を待って再開する場合の基準値です。
血圧としては、拡張期血圧が110mmHg以上になった場合、収縮血圧が190mmHg以上となった場合などですね。
脳梗塞リハビリと血圧調整機構
血圧調整システム
リハビリを行う上で血圧などのバイタルサインの確認が重要なことがわかりました。
血圧は、リハビリ中に一時的に高くなっても、休憩をすると下がることがあります。
そもそも、血圧はどのようなシステムにより調整されるのでしょうか?
はい、これについては、次の図を見てください。
血圧調整システム
「フィジカルアセスメントがみえる」 医療情報科学研究所 メディックメディア
血圧の調整には、主に二つの機構が作用します。
神経性調節と液性調節です。
それぞれをご説明しましょう。
神経性調節と自律神経系
神経性調整と自律神経系
「フィジカルアセスメントがみえる」 医療情報科学研究所 メディックメディア
神経性調整については、自律神経系が関与しています。
自律神経系は、交感神経系と副交感神経系に分かれます。
交感神経系は、活動時や精神緊張時に働くことが知られています。
又、副交感神経系は、休息時や精神的にリラックスした時に働きます。
図のように、交感神経系が優位になると、心拍数の増加や、心収縮力の向上と同時に、血管の収縮が見られます。
実は、血管も手脚と同じように、筋肉で収縮弛緩がコントロールされています。
この筋肉を血管平滑筋と言います。
血管平滑筋は、主に交感神経系が支配していることから、活動時や精神緊張時は血管が収縮して血圧が上昇するのです。
液性調節とホルモン
次は、液性調節についてです。
液性調整とは、様々なホルモンによる調整のことです。
ホルモンによる液性調整
「フィジカルアセスメントがみえる」 医療情報科学研究所 メディックメディア
血圧を上げるホルモンは複数あるのですね。
それに対して、血圧を下げるホルモンは少ないのですね。
そうですね。
このホルモンの作用を逆手にとって、高血圧を下げる薬も開発されました。
例えば、日本で高血圧に最も多く処方されているといわれるARBという薬があります、
ARBは Angiotensin II Receptor Blockerの略です。
つまりアンジオテンシンIIの働きをブロックすることで血圧を下げる薬ということですね。
血圧に関するホルモンも血糖のそれに似ていますね。
上げるホルモンは複数あるのに、下げるホルモンは少ない。
元々は、人類の生存のために備わったホルモンの作用が、現代人にとっては難しい問題を招いているのですね。
血圧調整の機序
これらのホルモンが分泌されるには、次の図のような機序が作用します。
血圧変化とその調整
「フィジカルアセスメントがみえる」 医療情報科学研究所 メディックメディア
一つ目は、頸動脈や大動脈の圧受容器によるものです。
これにより、パソプレシンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどが分泌されて血圧を上昇させます。
二つ目は、心房の圧受容器です。
これにより、心房性ナトリウムや利尿ペプチドが分泌されて血圧を下降させます。
三つ目は、腎臓の糸球体の傍糸球体細胞です。
これにより、アンジオテンシンIIやアルドステロンが分泌されて血圧を上昇させます。
脳梗塞リハビリと高血圧
血圧値の分類
血圧値の分類についても触れておきましょう。
血圧血の分類い
「フィジカルアセスメントがみえる」 医療情報科学研究所 メディックメディア
これは、一般的な血圧値の分類です。
140/90mmHg以上になると、高血圧と分類されます。
高血圧の基準が段々と厳しくなったことや、高血圧の薬の弊害などについては、以下の記事でもふれましたね。
脳梗塞予防への血圧の薬には注意が必要|降圧剤の危険性について
また、薬に頼らない高血圧への対処法についても、以下の記事でご紹介しています。
脳梗塞の予防のための血圧管理|薬に頼らずに血圧を下げる方法とは?
我が国の高血圧の基準は、世界的にも厳しいと言われています。
しかし、これについて、近年見直され始めています。
また、いつか詳しく勉強しましょう。
高血圧緊急症
高血圧の基準が厳しくなってきた一方で、高血圧が直接的原因の脳出血は激減してきました。
昔に比べて、日本人の栄養状態は改善されており、血管も強くなっていると言われています。
通常、高血圧では自覚症状はあまりありません。
しかし、例外的に著しい血圧上昇については、脳や心臓、腎臓などの異常を疑う必要があります。
このような状態を、高血圧緊急症といいます。
高血圧緊急症
「フィジカルアセスメントがみえる」 医療情報科学研究所 メディックメディア
著しい血圧上昇とは、概ね180/120mmHg以上のことですね。
高血圧緊急症では、脳障害によるものとしては、頭痛、嘔気・嘔吐、意識障害などがあります。
心血管障害によるものとしては、呼吸困難、胸痛、背部痛などが見られます。
このような場合は、速やかに降圧治療を開始する必要があります。
脳梗塞リハビリと血圧測定|正しいバイタルサインの測定方法についてのまとめ
脳梗塞リハビリと血圧のまとめ
血圧は、心拍数や一回拍出量、血管の内腔径、血液の粘性などにより影響を受けます。
リハビリを行う際も、他のバイタルサインと併せて注意する必要があります。
脳梗塞リハビリと血圧調整機構のまとめ
血圧の調整には、神経性調整と液性調整があります。
神経性調整は自律神経系によるもので、液性調整は様々なホルモンによるものです。
脳梗塞リハビリと高血圧のまとめ
概ね180/120mmHgなどの著しい高血圧では、高血圧緊急症の危険性があります。
高血圧緊急症は、脳障害によるものとしては、頭痛、嘔気・嘔吐、意識障害などがあります。
心血管障害によるものとしては、呼吸困難、胸痛、背部痛などが見られます。