目次
脳梗塞予防と血圧の関係
一般的に言われる脳卒中と血圧の関係
もくもく博士!
今日は、脳梗塞と血圧の関係について教えていただきたいです。
わかりました。
でも、どうかしたのですか?
最近、軽い脳梗塞に罹った私のおじいちゃんのことなんです。
医師から処方された血圧の薬を飲むようになってから、なんだか元気がないような気がするのです。
次の図を見てください。
血圧と脳卒中の発症率
NHK今日の健康
この図は、脳卒中の発症率と血圧の関係を示したものです。
なるほど、血圧と脳卒中の発症には関係があることは知られていますが、血圧が高まると発症のリスクは増えるのですね。
では、血圧はなるべく低く保った方が脳卒中に罹りにくいということですか?
たしかに、一般論としてはそのように言えるかもしれません。
ただし、低ければ低いほど良いというものではありません。
血圧には、全身に血液を届けるという重要な役割があります。
特に、脳への血流は非常に大切です。
そうなんですね!
血圧が高すぎるのは問題ですが、低すぎることにもリスクがあるんですね。
本当にそうです。
特に高齢になると、ある程度血圧が高くなることは自然なことでもあります。
それを、無理やり下げようという発想は危険でもあります。
そう言われると、私のおじいちゃんも血圧の薬が効きすぎて活気がないのかもしれないです。
実は、高齢者では、血圧が高いことのメリットもあることが分かっています。
本当ですか?
もう少し、詳しく教えてください!
では、さらに掘り下げて考えてみましょう!
高血圧が原因の脳出血は近年激減
では、次の図を見てください。
日本人の脳卒中病型別死亡率
大櫛陽一 「高血圧の9割は正常です」ダイレクト出版2024年
日本人の脳卒中の病型別死亡率の変化ですね。
何だか、数十年の間で随分と変化があるようですね。
その通りです。
脳卒中と血圧の関係でいえば、直接的には脳出血が最も重要です。
実際に、1950年代の日本では、脳卒中では脳出血が多数を占めていました。
この頃は、高血圧を下げて脳出血の患者さんを減らす事が国家的な命題だったといえます。
日本人の食事は塩分が多いと非難されたようですね。
はい。
国をあげて高血圧を減らす取り組みが行われました。
その成果もあって、日本人の血圧は50年間でなんと20mmHgも低下したのです。
凄いですね。
国の指導もあったのでしょうが、日本人の生真面目さがよく現れているように感じます。
最近の、コロナ騒動の時も、日本人は皆んな真面目にマスクをしたり、ソーシャルディスタンスに気をつけたりを徹底しました。
やっぱり、しばしば災害の時に言われるように、日本人は民度が高いのでしょうか?
そうですね・・・・・
ただ、その反面、今だに定期的に第◯波が流行し、ワクチン接種回数も世界一なのは違和感があります。
生真面目さ故に、危険さも感じないわけではありませんが・・・
話を血圧と脳卒中に戻しましょう。
脳出血が脳卒中の大半だった時代を経て、1970年代を境にして現在では脳出血は激減しました。
その後の脳卒中の主流は、現在に至るまで脳梗塞であるといえます。
でも、一方では高血圧患者は増えているという報道もあります!
50年で20mmHgも血圧が低下して、脳出血のリスクも大幅に減った現在なのに。
一体、どちらを信じればよいのでしょうか?
これについては、日本の高血圧の基準値が次第に厳しくなったという背景があります。
1983年の基準では180/100mmHg以上だった高血圧の基準が、2019年には、74歳以下では130/80まで引き下げられています。
そんなに厳しくなったのですか??
これでは、高血圧患者が増えるのも無理がありませんね。
問題なのは、その背景に医師側と製薬会社のとの癒着が囁かれていることです。
高血圧の基準が下がることにより、当然、降圧剤の処方数も増えます。
この過程には、製薬会社による日本高血圧学会などへのロビー活動があることは間違いないと思われます。
ということは、もしかしたら、飲まなくても良い薬を飲まされている患者さんがかなり存在するということですか?
その可能性があることは否定できないでしょう。
医師側と製薬企業との癒着問題については、後でさらに触れたいと思います。
健康のためと思って服用する薬ですが、薬にはメリットとディメリットの両方が存在します。
医師から勧められて服用するというだけでなく、副作用などをしっかりと確認する必要があります。
実際に、脳梗塞の発症や再発の予防においては、必ずしも血圧が低い方が良いとはいえません。
次は、血圧を下げすぎないことの重要性について、考えて行きましょう。
脳梗塞は血圧を下げすぎない
脳梗塞の予防や再発の予防に関しては、血圧を下げすぎないことが大事なんですね?
どういうことかをご説明しましょう。
次の図は、脳卒中治療ガイドラインの中の脳卒中の発症予防についてです。
脳卒中の発症予防への血圧管理
脳卒中治療ガイドライン2021
高血圧の高圧目標は、75歳未満などでは、130/80mmHg未満が推奨されていますね。
結構、厳しい基準ですね。
そうですね。
そして、この基準以上だと降圧治療のための薬の服用が勧められるのです。
今度は、脳梗塞の再発予防についてです。
脳梗塞再発予防の血圧管理
やはり、同じように130/80mmHg未満が推奨されていますね。
脳卒中の発症予防も脳梗塞の再発予防も、血圧は低く抑えた方が良いという印象です。
ところが、ここは専門家でも意見が分かれる部分です。
次をご覧ください。
これは、脳梗塞の再発予防において、血圧を下げすぎると再発が増えたという論文です。
20,000 名を超える脳梗塞患者を対象に、収縮期血圧を「120 mm Hg以下」、「120 ~ 140 mm Hg」、「140 mm Hg以上」 に分類して経過を追跡した結果、収縮期血圧レベルが「120 mm Hg以下」では、特に最初の脳卒中後 6 か月以内に再発性脳卒中のリスクが増加した。
収縮期血圧の正常低値と二次性脳卒中のリスク
Low-normal systolic blood pressure and secondary stroke risk
『収縮期血圧レベルが「120 mm Hg以下」では、特に最初の脳卒中後 6 か月以内に再発性脳卒中のリスクが増加した』ということですね。
日本のガイドラインの130/80mmHg未満と重なっていますね。
やはり、低ければ低いほど良いというものでもないのですね。
その通りです。
実は、血圧を下げる降圧剤の副作用の中には脳梗塞があります。
以下にARBディオバンという薬の医薬品添付文書に書かれてある副作用を記載します。
脳梗塞(高齢者)。重篤な副作用:血管浮腫、肝炎、腎不全、高カリウム血症、ショック、失神、意識消失、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、間質性肺炎、低血糖、横紋筋融解症、中毒性表皮壊死症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、天然痘、類天然痘。その他の副作用:発疹、そう痒、めまい、頭痛、白血球減少、好酸球増多、貧血、低血圧、動悸、嘔気、腹痛、肝機能検査値上昇、咳嗽、腎機能検査値上昇、血清カリウム値上昇
凄い数の副作用の種類ですね。
でも、普通は病院で処方される薬には、このような説明書は入っていません。
また、医師や薬剤師からも、こんなに細かい説明を受けることはないですよね。
多くの場合は、そうだと思います。
降圧剤は、70歳以上では過半数が常用しているそうです。
折角、脳卒中を防ぐために降圧剤を服用しても、実は副作用で脳梗塞のリスクが高くなるなんて、あまりに意外です!
そうです。
だから、血圧は低い方が良いと考えて、安易に降圧剤を服用するのは危険なのです。
超高齢者では血圧が高いほど自立度も高い
実は、加齢に伴った血圧上昇には良い効果もあります。
次の図を見てください。
百寿者の収縮期血圧と自立度の関係
大櫛陽一 「高血圧の9割は正常です」ダイレクト出版2024年
慶應大学医学部の廣瀬信義 先生のグループは、100歳を超える人(百寿者)の男性56人、女性197人を調査して、収縮期血圧と自立度の関係を調べました。その結果、血圧が高いほど自立度が高かったのです。これはつまり、100歳を超えると収縮期血圧が156~220mmHgなどの高い状態でも正常であるということです。
なんと、これは驚きです!
これは、日本の治療ガイドラインとはあまりに違いがありすぎます。
日本の医療業界においては、血圧の薬はビジネスとしても大きなシェアを占めるものです。
このようなデータは、いろいろな意味で表に出にくいのだと思います。
脳梗塞予防のための血圧の薬
それでは、そもそも血圧の薬とはどのようなものか?についてご説明しましょう。
降圧剤の種類とメカニズム
大櫛陽一 「高血圧の9割は正常です」ダイレクト出版2024年
本当にいろいろな種類の薬があるのですね。
この中で、日本で最も処方されている降圧剤はARBです。
その機能と副作用を知るために動作原理を説明しますね。
さきほど、副作用の説明で挙げられたARBディオバンですね。
よろしくお願いします。
人体の50~70%は水分なので、体内の水分量を確保することは大変重要です。
体内の水分量が減少すると血圧が低下し、次に腎臓の血流量が減少します。すると腎臓の糸球体からレニンという酵素が分泌されます。この働きでアンジオテンシンIというアミノ酸集合体が活性化され、さらにアンジオテンシンIIに変化すると腎臓でのナトリウムと水の再吸収量が増加して、体内の水分量を増やしてくれます。
つまり、アンジオテンシンIIは生体維持機能のために体内の水分量を確保するのに必要な物質なのです。
降圧剤ARBはアンジオテンシンIIの働きを妨害し、体内の水分量を減らして、血圧を下げるのです。
要するに、ARBは「生命の危険を冒して血圧を下げる」薬なのです。
それで、前述の副作用の内容のように、脳梗塞などに注意が必要なのですね。
脳梗塞予防の血圧の薬の弊害
次の図も見てください。
これは、大櫛陽一先生による降圧剤による死亡率を表にしたものです。
降圧剤で死亡率が高まる
大櫛陽一 「高血圧の9割は正常です」ダイレクト出版2024年
ここでのハザート比とは、1よりも大きいほど死亡率が高いというものです。
横軸に、血圧120/80mmHgから180/110mmHgまでの6段階に分け、平均5.6年間追跡して、降圧剤治療の効果とリスクを調査されています。
治療に対するハザート比は、159/99mmHgまでがほぼ1.0でした。
これは、つまりは降圧剤治療が死亡率に対して効果も弊害も少ないということを意味します。
しかし、180/110mmHgでは5倍以上に上昇しています。
収縮期血圧が180mmHg以上の群では降圧剤治療を行うことで死亡率が5倍高まったということです。
被験者の平均年齢が60歳台ということですから、加齢の影響はほぼ無いのですね。
これは、血圧が高いひとほど、降圧剤の副作用を受けやすいという可能性を示しているのですね。
でも、どうして、このような危険な副作用については、あまり公には公開されていないのでしょうか?
脳梗塞予防と血圧に関する製薬企業との癒着
そこを理解するには、医療業界と製薬企業側との癒着関係を知る必要があります。
次の図は、ある有名な医師1名が、2019年に製薬企業から受け取った金額を示したものです。
日本高血圧学会ガイドライン策定委員の一名の提供された金額
大櫛陽一 「高血圧の9割は正常です」ダイレクト出版2024年
これと同じデータが以下のサイトで確認できます。
https://yenfordocs.jp/pharmaceutical/2019/384434
凄い金額です。
この医師は、どのようなお立場の方なのでしょうか?
この方は、「日本高血圧学会ガイドライン2019」を作った当時の主要人物とされています。
やはり、お金なのですね。
世の中の大抵の医療関係者は、善意で薬の服用を勧めるのだと思います。
しかし、その背景にはこのような学会と企業側の間の癒着があることは事実なのでしょう・・・・
残念ながら、そうだと思います。
最近、政治の世界でも問題となった裏金問題などにも似ていると思います。
元々、日本人は性善説で物を考える習慣が強いと感じます。
医師は正しい、政治家も正しい・・・・、間違いは一部の話だと思いたいのです。
患者側も医薬品添付文書をよく読むなどして、薬の副作用について知識を深めることが重要ですね。
脳梗塞予防への血圧の薬には注意が必要|降圧剤の危険性についてのまとめ
脳梗塞予防と血圧の関係のまとめ
脳卒中の発症と血圧には関係があると言われています。
近年の脳卒中では、高血圧が直接的な原因である脳出血は激減して、脳梗塞が主流となっています。
脳梗塞では、血圧を下げすぎることの弊害に関する報告もあります。
また、超高齢では血圧が高いほど自立度も高いというデータも存在します。
脳梗塞予防のための血圧の薬のまとめ
日本で最も処方されている降圧剤はARBです。
降圧剤ARBは、アンジオテンシンIIの働きを妨害し、体内の水分量を減らして、血圧を下げるのです。
ARBには、少なく無い副作用も存在します。
脳梗塞予防の血圧の薬の弊害のまとめ
降圧剤と死亡率の関係を述べた報告では、収縮期血圧が180mmHg以上の群では降圧剤治療を行うことで死亡率が5倍高まったというものがあります。
脳梗塞予防と血圧に関する製薬企業との癒着のまとめ
一般的に、降圧剤の危険性があまり知られていないという事実があります。
これには、医療業界と製薬企業側との癒着関係を知る必要があります。