パーキンソン

パーキンソン病を含む神経難病は、症状が大きく変動したり進行する場合もあります。

また、状態によって、必要とされるリハビリ内容は異なります。

しかし、介護保険でのリハビリ時間は、脳卒中などと同じように20分間程度が標準となります。

侵される神経系の部位も脳卒中とは全く異なるため、より専門的な知識が必要となります。

事例:「パーキンソン病~一度の施術前後の変化」

パーキンソン病の歩行の特徴の一つに、小刻み歩行があります。

これは、一歩一歩の歩幅が狭くなる現象で、足が前に出ない「すくみ足」などと並んでパーキンソンの歩行障害の代表です。

パーキンソンの大きな問題には、筋肉が強剛して運動の切り替えが難しくなることです。

これは、歩行においても同様で、滑らかな下肢の振り出しを制限します。

実は歩行は、下肢のみの運動ではなく、全身の協調動作であると言えます。

そのため、体幹を含む全身の筋肉の強剛が歩行障害の一因となっているのです。

そこで、施術ではまず体幹の運動性を重視します。

歩行の準備として体幹の円滑な運動性を引き出す

上の写真のように、歩行の準備として、施術により体幹の円滑な運動性を引き出します。

体幹には、脊柱や肋骨、骨盤など多数の骨が密接につながり合っています。

それらの運動性を引き出すことにより、歩行に必要な体幹の回旋や体重移動を行いやすくします。

次の写真は、1回の施術前後での木刻み歩行の改善を示しています。

体幹の円滑な運動性が引き出されたことにより、腕の振りが可能になったことに加えて歩行時の歩幅が広がっています。

これは、体幹を中心とした全身の筋肉の強剛が緩和されて、歩行に必要な体幹の回旋などが可能となった結果です。

腕の振りや歩幅の広がりは、脊柱や骨盤の動きの増大と密接に関連しています。

脳性麻痺

脳性麻痺では、発達を伸ばす上で小児期からリハビリが必要です。

さらに、成人期以降も二次障害の予防の観点から継続的なリハビリが望まれます。

小児期に出来ていたことが、成人期以降では困難になったり、整形外科的な病気を併発するリスクがあります。

予防には、脳性麻痺の発達過程や加齢に精通した担当者からの施術が必要です。

事例:「筋緊張増加と痛みを伴う成人脳性麻痺の施術前後の改善」

事例は、40歳代のアテトーゼ型脳性麻痺です。

足で電動車椅子のジョイスティックレバーやパソコンのトラックボールを操作するなど、活動的な日常を送る反面、年々身体の筋緊張が増加して、首や肩などに痛みが強くなりつつありました。

一般に、このような状況では、将来的に脊椎の疾病に罹患する可能性があります。

そこで、全身の筋緊張を緩和して、日常生活を送りやすくすると同時に二次障害の予防に努めるように施術を行いました。

過緊張緩和への施術

過緊張をリラックスするには、安定した姿勢を作り丁寧に身体を動かす必要があります。

そのため、クッションやタオルを利用して身体の接触面を増やし包まれるような感覚を提供します。

その上で、脊柱や胸郭などに動きを入れてゆきました。

上の写真は、1回の施術前後での座位保持の変化を示しています。

施術前は、全身の筋緊張が強く、アテトーゼ型脳性麻痺特有の左右非対称な姿勢になっています。

首が右を向き、転倒しそうになっています。

施術後は、全身の筋緊張が緩み、首も前を向いています。

姿勢が安定して、介助することなく座位保持が可能となっています。

施術中の筋緊張の緩和に伴い、首や肩の痛みも軽減して、リラックスした表情が見られるようになりました。

成人期の脳性麻痺では、長年の身体の使い方により首や腰などの脊柱を炒める場合があります。

このような二次障害を起こさないためにも、継続的な施術が必要な場合があります。

高齢に伴う骨折・外傷後など

高齢期で要介護状態となるきっかけとして、脊柱や股関節などの骨折が挙げられます。

急性期の治療を終えて、ある程度運動機能が回復した後も、疼痛や筋力低下の影響が残る場合があります。

介護保険リハビリに加えて、保険外(自費)サービスを取り入れることは有効です。

以下に、腰椎圧迫骨折後の事例をご紹介します。

事例:腰椎圧迫骨折の一例のリハビリによる要介護度の改善

症例は、元々7年前に発症した脳梗塞による慢性期の左片麻痺がある中、転倒により腰椎の圧迫骨折を受傷されました。

受傷3ヶ月後の時点では、未だ腰痛が強く以前のようには様々な動作ができない状況でした。

痛みにより、寝返りや起き上がりができない他、立位や歩行訓練においても腰が伸びない状態でした。

この時点では、要介護3相当の状態でした。

その後、私が定期的に施術した結果、一月間で腰痛が緩和して立位や歩行訓練も以前のように行えるようになりました。

一月間の施術で腰痛は緩和して以前のように立位や歩行訓練が可能

圧迫骨折後左片麻痺の改善
(左)慢性期左片麻痺と腰椎圧迫骨折により腰が伸びない状態 →→→ (右)一月間の施術で腰が伸びて歩行訓練が可能となる

さらに、継続的に施術を継続した結果、6ヶ月後には要介護度の改善も見られました。

通常、要介護認定は、コンピューターによる一次判定と介護認定審査会による二次判定により成立します。

この認定期間は、平均的には半年から〜四年間と幅があります。

それに対して、一次判定の内容のみを専門的な解析ソフトによりシュミレーションすることができます。

その結果が下の図です。

施術後6ヶ月後要介護度が軽くなった!

6ヶ月後 :専門的解析ソフトにより要介護度が要介護3→要介護2へと軽くなった

以上のように、骨折や外傷後にも専門性の高い施術により症状や要介護度が改善することがあります。

特に脊柱や股関節の骨折は、高齢期では大変多いものです。

予防することも重要ですが、受傷後にも適切なリハビリ施術を行うことが大切です。