慢性期の上肢・手指機能の機能向上に関する研究より
久留米脳梗塞リハビリサービス代表の永田による施術例をご紹介します。
下の図は、22名の慢性期片麻痺者に対して、上肢・手指機能の改善を目的に30日間の集中アプローチを実施した結果です。
平均年齢は59歳、開始時の発症からの期間は1年から7年の慢性期の方々ばかりでした。
施術の頻度は週に3〜5回で、施術時間は40分間でした。
上肢機能全体としても有意な向上が見られますが、腕の機能や手指、協調性/スピードなど、多くにおいて機能向上を認めました。
30日間という短期間であっても、集中的な取り組みにより数値的な変化が確認できました。
永田誠一.慢性期片麻痺の上肢機能改善における同側半球の優位性(PT-OT-ST Channel Online Journal Vol.4 No.5 A2(Dec. 22,2015)より引用 http://ptotst-channel.com/journals/page/94
3年間に渡る機能向上事例
次は、3年間に渡る長期経過の報告です。私が、2004(平成16年)に発表した論文からの引用です。当時は、病院でのリハビリに日数制限が無かった為、入院や外来による長期間のリハビリが可能でした。
50歳代男性の発症5ヶ月後から3年に渡る経過を報告したものです。
発症5ヶ月時点では、なんとか歩行は可能でしたが、杖と装具が外せない状況でした。
腕の機能も、まだ低く日常では使用が困難な状況でした。
その後、入院外来のリハビリを長期間継続したことにより、運動機能に向上が見られました。外来になってからも、週1〜2回のリハビリ(40分間)を続けていました。
その結果、発症後3年の時点では、杖や装具なしの歩行が可能となり、腕も十分挙がるようになりました。また、物を掴むことが可能となったことで日常生活上の上肢の使用が一部可能となりました。
永田誠一.ADLと下肢機能 〜課題・環境・個の相互関係〜(ボバースジャーナル2004)より引用