目次
久留米や全国での脳梗塞発症の傾向
発症の危険は常にある
さくら先生、こんにちわ!
今日は、久留米や全国で多い脳梗塞の発症について教えてください。
わかりました。
脳梗塞は、脳卒中の一つです。
次の図を見てください。
脳卒中患者数の年次推移
ナースアテンダント https://www.nurse-at.jp/knowledge/disease/nokosoku.html
脳卒中の死亡率と総患者数の推移ですね。
左の図では、脳卒中による死亡率は減少しているのがわかりますね。
これは、久留米も含む全国的な傾向ですね?
そうです。
注目すべきは、右の図です。
脳卒中自体は、増加の一途を辿っています。
かつては、脳出血の方が多かったことに対して、現在では、脳梗塞が7割以上を占めています。
脳卒中の増加は、脳梗塞の増加とほぼ一致しているのですね。
脳梗塞は脳の血管が詰まる病気です。
一方で、脳出血は高血圧などが理由で脳の血管が破れる病気です。
脳出血の主な原因は、高血圧です。
しかし、塩分摂取量を控えるような食習慣の普及により、近年の日本人の平均血圧は下降傾向にあります。
それで、脳出血が減ったのですね。
久留米などの九州や西日本に比べると、東北地方などで塩分摂取量が多かったと聞いたことがあります。
では、逆に脳梗塞が増加している理由はなんでしょうか?
脳梗塞のリスク因子は様々です。
高血圧、糖尿病、不整脈、喫煙、脂質異常症などが代表的なものです。
ただ、脳梗塞が増加している一番の要因は、高齢化です。
日本人の平均寿命が伸びていることは周知の事実でしょう。
高齢化に伴い、脳梗塞は激増しました。
なるほど。
高齢者になれば、高血圧や糖尿病などのリスクもより高まりやすいのでしょうね。
そうですね。
ただ、実際問題としては、若い人の脳梗塞発症もけっして珍しくはありません。
中には、前述のリスク因子が無い人の発症もあります。
そのような意味においては、発症の危険性は常に誰にでもあると考えるべきでしょうね。
睡眠中のリスク
それでは、もう少し、脳梗塞発症の傾向を見てみましょう。
脳梗塞が発症しやすい時間帯は午前中で、意外にも自宅にいる時が多いのです。
その一つのパターンは睡眠中です。
ええっ!
寝ている間に脳梗塞にかかるのですか?
それは、怖いですね!
睡眠中は、寝汗をかいて意外と脱水になりやすいのです。
そうすると、いわゆる血液がドロドロの状態になり、血栓ができやすいのです。
それと、睡眠中のリスクは他にもあります。
次の図をご覧ください。
血圧の日内変動
https://www.healthcare.omron.co.jp/zeroevents/bloodpressurelab_basic/contents1/112.html
これは、ある文献からの引用で、血圧の日内変動を示したものです。
血圧は、夜間の睡眠中に下がる傾向にありますね。
そうです。
脱水で血液がドロドロの上に、血圧も下がるのでより血栓ができやすくなるのです。
さきほどのお話しのように、高血圧の改善により脳出血が減少した反面、脳梗塞は血圧が下がることによるリスクも高いのですね。
なんだか、難しいですね。
起床時の気づく
このように、睡眠中に発症していたものが、起床時になって気づくことがあります。
目が覚めて起きようとしたら、片側の手脚が動かないことで分かるのです。
これは、驚くでしょうね。
まさに、青天の霹靂とでも言うような・・・・
脳梗塞発症は、高齢化と関係があります。
夏場になると、睡眠中の脱水傾向がより著明となります。
しかし、高齢者は全般的に、夜間頻尿になりやすい傾向があります。
そのために、ついつい水分を控えてトイレの回数を減らそうとすることがあります。
それが、脱水を起こしやすくして脳梗塞の発症につながります。
寝る前だけでなく、昼間に水分摂取を控えることも良くないですか?
その通りです。
夏の猛暑日などは注意です。
春から夏に向かうような季節の変わり目も危険です。
朝は涼しくて、昼間に急に暑くなると、身体が適応できないことがあります。
兎に角、日頃からこまめな水分摂取を心がけるべきです。
久留米市などの西日本でも、猛暑日や熱帯夜の日数は増えているような印象です。
ただ、近年では、北海道などの北の地方から南の地方まで、暑い日が増えていますね。
意外と沖縄が、まだ良かったりということもあるようです。
これも、テレビなどで言われている気候変動の影響なのでしょうか?
さあ、それはちょっとわかりません!
話題を戻しましょう。
活動開始時
朝の活動開始時にもリスクがあります。
通勤の途中に、急な発作に見舞われる場合もあります。
それは、夜間にできた血栓が急な活動開始により、脳の血管で詰まることによるものですか?
はい、そうだと思います。
日頃から、動脈硬化の傾向が強い人は脳梗塞のリスクが高いといえます。
常日頃から気を付ける必要があります。
久留米や全国での脳梗塞の男女差
年代ごとの男女差
ところで、さくら先生!
脳梗塞の発症には、男女差はあるのでしょうか?
印象としては、男性の方が多いような気もしますが・・・・
では、次の図を見てみましょう。
性・年齢別にみた脳梗塞の患者数
高木 誠 「脳梗塞の防ぎ方・治し方」 講談社
この図は、高木誠「脳梗塞の防ぎ方・治し方」からの引用です。
元データは、「平成20年患者調査」からです。
なるほど、脳梗塞の発症は60代から急増して、70代や80代で多いようですね。
先ほどのお話しの通り、脳梗塞の発症は高齢化と密接な関係がありそうですね。
先ほど、少し出た動脈硬化とも関係しますか?
その通りですね。
動脈硬化も年齢とともに進行します。
一般的に、老化とともに血管の弾力性は低下します。
これは、誰にでも言えることです。
たしか、血管にも筋肉があって、血管の収縮や弛緩を司っているのですよね。
そのような筋肉の柔軟性の低下は、血管だけでなく全身的な傾向ともいえます。
ただ、一つ問題があります。
何でしょうか?
それは、良くない生活習慣との関係で、動脈効果が悪化することです。
それを、粥状(じゅくじょう)硬化といいます。
それは何ですか?
慢性的に脂質の多い食生活を続けることなどで、血管の内側にコルステロールが溜まると言われています。
それが、活性酸素の影響で粥状(アテローム)となります。
これを、粥状(アテローム)硬化といいます。
さらに、このアテロームにより傷んだ血管を修復するために血小板が集まります。
そうすると、血栓ができやすくなるのです。
脳梗塞には、いくつかのタイプがあると言われていますが、ほとんどの場合はこのアテローム性の動脈効果が関係していることがわかっています。
そうなんですね。
よく、わかりました。
高齢化に伴い、動脈硬化が進行することでリスクが高まるのですね。
そう言えますね。
ただ、高齢化に伴い発症リスクが高まるのは、脳梗塞以外の病気でも大体同じでしょう。
たしかに、がんや心臓病も同じような傾向ですよね。
次に男女差についても教えてください。
男女差については、年代ごとに少し傾向が異なるようですね。
全体的には大きな男女差はない
60代までは明らかに男性の方が多いようです。
70代で、大分拮抗していますね。
80代、90代では女性の方が逆転して多いようです。
そうですね。
これには、日本人の平均寿命も関係しているでしょう。
男性が、大体81歳ぐらいで、女性が87歳ぐらいでしょうから。
トータルでは、大きな男女差はないということでしょうか?
そんなところでしょう。
働き盛りの世代では、特に男性がより注意する必要はあるのかもしれませんね。
久留米や全国での脳梗塞発症の季節差
夏に多い脳梗塞
次に、脳梗塞発症の季節差についてです。
ここまで、お話しを聞いてくると、大体わかるような気がします。
そうでしょうね。
脳梗塞は、夏に多いといえますね。
この記事を書いているのが6月ですから、これから数か月間はリスクが高い時期といえます。
本当ですね。
この時期は、単に気温が高いだけでなく、湿度も高くなります。
熱がこもりやすくて、体感的にはより暑いですね。
夜もエアコンが必要になりますね。
冬に多い脳出血
一方で、脳出血は冬に多いと言えます。
脳出血は、高血圧がリスクでしたね。
冬場は、寒いために熱を逃さないように血圧が上がる傾向にあります。
特に、暖かい部屋から急に寒いところに移動した際には、急激に血圧が上昇します。
そのような時が、最も危険なのですね。
もし、脳梗塞や脳梗塞後リハビリについて、さらに知りたい場合は、以下のサイトが参考になります。
どうか、ご参考にされてください。
久留米で脳梗塞を発症したら!|脳梗塞は夏に多い?男女差は?のまとめ
久留米や全国での脳梗塞発症の傾向のまとめ
近年、脳卒中による死亡数は減少していますが、脳卒中自体の患者数は増加傾向にあります。
これは、主に、脳梗塞の増加によるものです。
脳梗塞の発症は、睡眠時にリスクが高いことが知られています。
久留米や全国での脳梗塞の男女差のまとめ
脳梗塞の発症は、60代から急増して70代や80代で多い状況です。
60代以下では、男性の発症が目立ちますが、全体的には大きな男女差はないと言えます。
久留米や全国での脳梗塞発症の季節差まとめ
脳梗塞の発症は、夏に多い状況です。
一方で、脳出血の発症は冬に多いことが特徴です。